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- KEIO SFC JOURNAL
- Vol.21 No.2
India Japan Innovation Potentials
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[日印合同のウェビナーシリーズ]
デジタルトランスフォーメーションのためのインターネット －日印共同協力の可能性
村井 純（慶應義塾大学教授） 共同イノベーションの可能性
白石 翼（楽天インド副会長） 日本とヨガ
SFCJ21-2-002.pdfをダウンロード大橋 一陽（一般社団法人全日本ヨガ連盟理事長） 特集招待論文-
[研究論文]
インドのナレンドラ・モディ首相のリスク管理
広瀬 公巳（岐阜女子大学南アジア研究センター特別客員教授／NHK元ニューデリー支局長） 本稿はインド第18代首相ナレンドラ・モディのリスク管理の方策と成果について明らかにすることを目的としている。モディの政権担当期間に起きた政治、経済、災害、感染症などの様々な危機の種類と危機対応策を従来のインド政治と比較して分析した。モディの指導力はヒンドゥー・ナショナリズムの高まりとメディア政治家としての特性がシナジー効果を生み出したものと考えられる。新型コロナウイルス感染症という大型の危機の中で危機管理に一定の限界も観察されたが支持率は高い水準で維持され、モディの政治がインドの民主主義の長年の脆弱性を克服する変化である可能性が指摘できる。
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[総説・レビュー論文]
激変するインドIT業界とイノベーション
武鑓 行雄（慶應義塾大学SFC 研究所上席所員／元ソニー・インディア・ソフトウェア・センター社長） インドIT業界が激変している。大手インドITサービス企業は世界を相手に巨大企業へと成長を続けている。世界のグローバル企業は、バンガロールを中心に開発拠点を設置し、新規技術の開発を加速させている。スタートアップ企業も急増しており、その中からユニコーン企業も続々誕生している。世界的なIT 技術革新とビジネスの新興国シフトが進む中、欧米企業は積極的にインドIT業界との連携を強化している。一方、日本企業の動きは極めて限定的である。本稿では、コロナ禍でも成長を続けるインドIT業界と、デジタル化の加速とともにイノベーション大国に変貌しつつあるインドを紹介し、IoT時代に向けて、日本が抱える課題と、その解決のために日印連携の可能性を考察する。
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[総説・レビュー論文]
日印の技術協力のヒントを探る
片岡 広太郎（インド工科大学ハイデラバード校計算機科学・工学科准教授） 近年では、様々な分野で日印連携が進んでおり、インドの理工系人材が日本におけるITやDXをはじめとするソフウェア分野の発展に寄与すると期待が高まっている。その一方で、日本から見たインドの科学技術および人材像は、「インド工科大学」「理工系人材」などといった粒度の粗い表層的な外見にとどまり、その理解は定まっていない。本稿では、筆者がJICA専門家や教員としてインド工科大学ハイデラバード校で日印連携に取り組んで得られた知見をもとに、日印連携において期待できるイノベーションの創出に対して、インド人材がどのような役割を果たし得るかを考察する。インド人材が注目を集めるに至った文化的な背景を考慮しながら、今後の日印連携のあり方や解決すべき課題を明らかにする。
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[研究論文]
都市のストレスと気候変動の問題 －ヨガの潜在的な役割
加藤 亜希子（慶應義塾大学環境情報学部非常勤講師） ショウ ラジブ（慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授） 人のストレスは当然環境に左右される。人々が生活している環境の変化はそのままストレスの原因の変化に繋がる。都市化という環境の変化もまたストレスの原因になるが、本論文では昨年来続く未曽有の大規模感染症災害である新型コロナウイルス感染症（COVID-19）がもたらした心身のストレスが、外出禁止や自粛といった特異的かつ具体的な状況下でいかにして発生したかを考察し、インド発祥のヨガは、人間の免疫力（身体的問題）を高め、複雑な都会のライフスタイルや市街化の特別な環境、災害による特殊な環境で精神的ストレスを軽減するのにどのように効果的であるかを明確にする。本論文は、ストレスを科学し、ニューノーマルにヨガは大きな意味を持つことを科学的に検証する。 研究ではコロナ禍の日本で、ヨガの心身への影響に関するデータの収集を行う。特に、①若者へのストレスの原因とその対処方法としてのヨガ経験者である日本の大学生へのアンケートを実施し、②コロナ禍でのヨガ経験者のヨガのストレスマネージメントとしての活用法をリサーチした。そうすることで、都市化や災害などの特殊な環境下におけるストレスの状況を因果と対処法を含めて可視化する。
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[実践報告]
音文化とその周辺における日印共同開発へ －「百見は一音に如かず」と思えば ．．．
ティ エム ホッフマン（演奏・教育・企画／日印音楽交流会代表） 物事の情報交換は主に五感の中の視覚と聴覚に頼る。目で把握・空間に存在する物と、耳で把握・時間に活きる事、その区別は（広義）hardware 具象とsoftware 抽象との相違による。前者が日本、後者がインド、それぞれの世界観に優先的だと言えよう。物である文章・楽譜・楽器に注目する日本に対して事である口語・発音・即興、つまり音による多様性を認めるインド文明。代えて「百見は一聞に如かず」、見（目）より聞（耳）で「mandala 型よりmantra 音」。「日本の物にインドの事」で、和楽器でインド音楽の音階類を活用すると「1石32,848鳥」に至る。特定作品よりも、体系的な過程（process）に重点を置くインドの創作・即興法は、日本のあらゆる業界に有意義な原理を提供する。
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[研究論文]
ナーグプルの水ストレスに対する利害関係者の認識 －インドにおける参加型統治の研究
スクワニ ヴィバス（慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程） ショウ ラジブ（慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授） インドのナーグプルの実態から窺えるように、急速な都市化は都市と農村における水問題に拍車をかけている。効果的な水資源の管理には、それぞれの階層における利害関係者の多様な意向や価値を考慮することが（日本の事例のように）不可欠であるとされている。ナーグプルにおいて参加型統治を実現するために、包括的に利害関係者の認識を明らかにすべく、本研究では質的手法（重要な情報提供者に対するインタビュー調査）を用いた。
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自由論題投稿論文-
[研究論文]
ラテンアメリカの多文化主義政策と日本の防災教育ワークショップの交わる地点で －メキシコとペルーにおける災害認識とナラティブ、コミュニケーターの役割、先住民知と近代科学技術の関わり
岩堀 卓弥（慶應義塾大学環境情報学部訪問研究員） パリーク 亜美（慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程） 藤田 護（慶應義塾大学環境情報学部専任講師） 大木 聖子（慶應義塾大学環境情報学部准教授） 本研究は、メキシコ太平洋沿岸部のシワタネホ市での地震・津波災害に関する防災教育事例と、ペルー・クスコ県のケチュア語話者が多い山岳地域での土砂・気象災害対策を紹介し、特に、災害リスク認知に関する現地住民の語り（ナラティブ）が、自然科学の客観的な知識とは異なる視点から、彼ら特有の社会 的現実を構成していくあり方を提示する。これらを、ラテンアメリカ地域の公共政策の課題である知の複数性と異文化間相互性の理念の下での取り組みの最先端に位置づけることで、災害科学コミュニケーションの新たな可能性を示す。
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[研究論文]
アイヌ口頭伝承の語りとミメーシス －神謡と散文説話にみる悪神と和人のふるまい
石井 正樹（東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻文化人類学コース修士課程） アイヌ口頭伝承の神謡と散文説話の語りを、マイケル・タウシグのミメーシス論を土台に捉え、語りのミメーシスが悪神や和人をアイヌ社会の中に位置づける働きを、刊行物やアーカイヴ公開されている悪神と和人の物語45編から分析し、従来の〈カムイ－アイヌ〉の二者関係を前提とするアイヌ社会の認識に対し新たな視点を示す。また、外来神や和人など歴史のかかわり合いの中で新たに現れた存在を悪神のふるまいの型を通して語ることで、脅威であると同時に、力を引き出すことができる存在として、アイヌ社会に引き入れる働きについて論じる。
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