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KEIO SFC JOURNAL Vol.24 No.1

2024.09 発行

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自由論題
  • [研究論文]

    Urban Functions of Temples and Their Relationship with Local Markets in Phnom Penh, Cambodia

    藤澤 忠盛(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程 / 昭和女子大学環境デザイン学部環境デザイン学科同国際文化研究所准教授)
    葛原 俊秀(東京工科大学デザイン学部准教授)

    カンボジアの首都プノンペンの都市開発は計画性に乏しく、歴史的建造物の取り壊し、観光資源や都市の風土性の喪失という問題が生じている。高い経済成長とともに都市の近代化、拡大化が進むプノンペンにおいて、フランス統治時代以前からの都市の変遷の中で、寺院は都市の機能と景観という点で重要な要素であると言える。本研究において、寺院の都市機能と人々の生活の場であるマーケットとの関係性を調査・研究し、プノンペンにおける伝統的な都市要素として寺院を保全し継承することが、プノンペンの風土性の保全につながると考えるに至った。

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自由論題
  • [研究論文]

    ホルモン療法を受ける乳がん患者の倦怠感と倦怠感マネジメントバリア、ソーシャルサポートの関連

    高橋 見優(元慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科看護学専攻がん看護分野修士課程)
    小松 浩子(慶應義塾大学名誉教授)
    林田 哲(慶應義塾大学医学部一般・消化器外科准教授)
    杉山 大典(慶應義塾大学看護医療学部教授)

    ホルモン療法を受ける乳がん患者の倦怠感と倦怠感マネジメントバリア(以下バリア) 、ソーシャルサポートの関連について抑うつ・不安を考慮した上で明らかにし、看護の示唆を得ることを目的とした。ホルモン療法開始後3 ヶ月から5 年以内の乳がん患者84 名を対象に調査・分析を行った結果、倦怠感とバリアには関連が認められ、その関連には抑うつ・不安が重要な要因となっていることが見出された。倦怠感に対しては、倦怠感そのものだけでなくバリアや抑うつ・不安の可能性を含めた多角的なアセスメントや看護支援の必要性が示唆された。

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自由論題
  • [研究論文]

    Spectacular Performances and Surveillance in Contemporary China

    李 昊光(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程)

    本研究は、監視の強制性とスペクタキュラーパフォーマンスの効果の関係を検証する。監視の強制性が高まると、スペクタキュラーパフォーマンスに対する民衆からの皮肉な見方や破壊的な行動さえも生じる可能性があると主張する。改革開放時代と習近平時代との比較を通じて、習近平の意図に反して行われた政治運動は、中国人に否定的なイデオロギー的影響を与えた。その結果として、1989 年以来最大規模な抗議デモおよび政治的不安定を招いたと、本研究は主張する。

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自由論題
  • [研究論文]

    学校図書館と著作権法施行令1 条の3 -CPS (Cyber-Physical System)時代における学校図書館に期待される役割を踏まえて

    栗原 佑介(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任准教授(有期))

    令和3年著作権法改正では、図書館関係の権利制限規定が大幅に見直されたが、学校図書館については、依然として「図書館等」(同法31 条、施行令1 条の3) に含まれていないため、改正の恩恵を受けることができなかった。本稿では、①令和3年著作権法改正において学校図書館が含まれなかった経緯を振り返り、②改めて「学校図書館に期待される役割」につき、諸外国の学校図書館制度と比較したうえで、③著作権法施行令1 条の3 第1 項を改正し、学校図書館を含むべきか検討した。

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自由論題
  • [実践報告]

    キャリア教育を通した学生の意識・行動プロセスの追跡調査 -ライフストーリー・インタビュー実習の実践から

    勝又 あずさ(成城大学キャリアセンター特任教授)
    河井 亨(立命館大学スポーツ健康科学部准教授)

    本研究の目的は、社会人へのライフストーリー・インタビュー(LSI) の追跡調査として、学生の意識・行動プロセスを検討することであった。学生11 名のインタビューデータをM-GTA を援用し分析した結果、7カテゴリー・36 概念が生成され、『LSI での間接経験を通した省察と実践による新たな自己の構成プロセス』が示された。個別に洞察した結果、経験学習による「行為について/ の中の省察」を通して学生のロールモデルの構成要素が機能したことが推察された。狭義の職業指導でなく自己のライフ・キャリアの視野を拡げる教育手法として、LSI の可能性を示した。

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自由論題
  • [研究ノート]

    日本における経済安全保障政策の始まり -石油危機時の経済安全保障政策の検証を通じて

    國藤 貴之(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程 / 独立行政法人経済産業研究所 コンサルティングフェロー)

    本稿では、経済安全保障政策の起源といえる石油危機時の日本の経済安全保障政策を検証した。石油危機を受け日本は経済的脆弱性の解消に向けた取り組みに加え、安全保障概念の広がりに対処するための政策的な対応を進めた。資源制約は経済安全保障の概念を国際主義的な政策に発展させ、省庁間の調整は経済安全保障の射程を制限した。現代の経済安全保障政策を考察すると、石油危機時における経済安全保障政策との類似性がみられる。

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