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KEIO SFC JOURNAL Vol.5 No.1

2006.09 発行

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研究論文自由論題
  • 情報社会の言語的多様性と多言語主義 言語的デジタル・デバイドの解決へ向けて

    上村 圭介 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程

    本稿は、第一に従来ソフトウェア工学上の問題として理解されてきたソフトウェアの多言語化を言語計画の観点から位置づけるための理論的な枠組みを提示する。第二に、各言語における多言語化の現状を分析し、言語間における多言語化の進展状況の隔たりが単に技術的な要因や経済的な要因だけで生じているものではないことを示す。最後に、これまで多言語化における格差を解消するために導入されてきた方策を評価し、その上で、今後、多言語化の格差解消のためにどのような方策が有効となりうるかを論じる。

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  • 西銘順治研究 「日本一の沖縄県」という思想

    渡久山 和史 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了

    沖縄保守政界の重鎮・西銘順治のライフヒストリーを通して、戦後沖縄における「日本ナショナリズム」に関する言説を検証する。しかし、それは同時に、ネガとしての「沖縄人」という抵抗の主体を発見していく契機でもあった。本研究では、「沖縄人」の意識を強く持っていたがゆえに、「日本ナショナリスト」でもあった西銘の数奇な人生を辿る。西銘にとって、「日本ナショナリズム」とは、「沖縄に対する郷土愛」の一形態でしかなく、戦後に西銘は、「日本一の沖縄県」という思想を結実化させる。

  • 農村開発下における生活資源獲得・利用の変容-北部タイの事例

    渡部 厚志 東京大学大学院新領域創成科学研究科 国際協力学専攻 研究員

    開発の影響で、東北タイ農村では、食料と水や燃料、資金、知識や医療を市場と公共サービスから世帯ごとに得る場面が増え、車や携帯電話、高等教育など新しい資源も普及した。資源の種類や獲得方法の変化は、農村住民の生活設計が、村の外、農業以外の生計に重点を移してきたことと対応する。このため、現在の所得や土地だけでなく将来の選択肢にも、世帯ごとに大きな差が生じている。

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  • 対テロ協力の概念と制度発展-欧州における対テロ協力を中心に

    中林 啓修 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程COE研究員(RA)

    今日、テロリズムは国際社会が共有する大問題として広く注目されており、テロ対策も多様化・国際化している。一方、こうしたテロ対策は民主的な社会制度そのものを自壊させかねない危険を秘めてもいる。EUは自身を規定するEU条約に基づく意思決定手続きを通じてEUROPOLやCEPOL、ユーロジャストなど様々な政策実施手段を効率的に拡充させており、かつ拡大プロセスの中で自身と周辺国との対テロ政策のガバナンス強化を進めてきた。今後は市民の更なる参加によってより民主的な意思決定を進めることが期待されている。

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  • 映像コンテンツの国際流通パターンと規定要因に関する日韓比較研究

    金 美林 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程

    本研究は、日本と韓国の大学生に対して行った質問紙調査に基づいた実証研究である。調査の結果、日本と韓国の大学生は外国テレビ番組への接触度にはほとんど差がなく、外国映画に関しては韓国の大学生の接触度が高く現れた。また、日韓両国の結果で「発展の水準」や「技術水準」のように経済発展の尺度と判断できるものが外国映像コンテンツの接触に影響する主な規定要因と判明された。地域内における映像コンテンツ流通と関連していると予想された「文化的近さ」は、韓国の大学生が日本の大学生より強く影響されていることが分かった。

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  • Gapped Gene Polymerase Chain Assembly - A method for clustering multiple gene fragments

    駒井 宏美 慶應義塾大学法科大学院修士課程)
    中山 洋一 慶應義塾大学環境情報学部非常勤講師
    冨田 勝 慶應義塾大学環境情報学部教授

    近年、工業応用などを目的として微生物を改変する合成生物学という新たな分野が注目されている。細菌の改変は主に代謝遺伝子の操作であり、そのためには遺伝子を効率よく収集し、集積することが欠かせない。このような遺伝子集積を高速に行うため、PCRを用いたマルチプルDNA断片連結手法であるGPCAを開発した。GPCAは4つのPCRによって複数のDNA断片を目的の順番に沿って連結する。本手法を用いて大腸菌解糖系遺伝子を4つ連結することに成功し、制限酵素マッピングおよびシーケンシングによる構成確認を行った。

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