KEIO SFC JOURNAL - Vol.6 No.1 2007



CONTENTS
【招待論文】
サービス・イノベーション:日本の可能性
小笠原 敦 (立命館大学大学院テクノロジー・マネジメント研究科教授/独立行政法人産業技術総合研究所総括主幹)
榊原 清則 (慶應義塾大学総合政策学部教授)
ベンチャーが先導するサービスイノベーション−新ビジネスモデルとWeb 2.0がサービス産業にサイエンス導入を促進する
前田 昇 (青山学院大学大学院国際マネジメント研究科教授)
Jリーグというイノベーション−日本スポーツ産業の課題と解決策に関する考察
佐野 毅彦 (慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科准教授)
遅れてやってきた「サービスとしての医療」
井部 俊子 (聖路加看護大学学長・教授)
【研究論文:自由論題】
テレビ番組ライフサイクルを考慮した情報バラエティ番組の戦略的編成手法
小野田 哲弥 (産業能率大学情報マネジメント学部専任講師)
ドイツの自転車道網整備における計画基準と標識基準
エルファディンク, ズザンネ (慶應義塾大学総合政策学部非常勤講師)
冷笑的政治報道の影響に関する研究−1980年から2000年までの新聞の内容分析に基づいて
李 洪千 (慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程)
製品の収益構造の操作可能性−キヤノンのインクジェットプリンタ事業の事例
松本 陽一 (慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程)
【研究ノート】
コミュニケーション重視の英語教育における言語の役割とは−「言語の限界」に対する理論的考察
山中 司 (慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程)
鈴木 佑治 (慶應義塾大学環境情報学部教授)
チャンキングによる英文読解訓練ソフトの開発と実践評価
田中 幸子 (慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程)
全国の病院におけるIT環境の調査−遠隔看護コンサルテーションの実現可能性の検討
小高 恵実 (聖路加看護大学看護学研究科博士後期課程)
野末 聖香 (慶應義塾大学看護医療学部教授)
ABSTRACT
招待論文
  • サービス・イノベーション:日本の可能性
    小笠原 敦
    立命館大学大学院テクノロジー・マネジメント研究科教授/独立行政法人産業技術総合研究所総括主幹
    榊原 清則
    慶應義塾大学総合政策学部教授

    サービス産業における広義のイノベーション、いわゆるサービスイノベーションが、日本を含む多くの国々で重要になり、この点について近年活発な議論がおこなわれている。なかでも、米IBM社がイニシアティブをとって展開している、いわゆる「サービスサイエンス」の提案と、東京大学人工物工学研究センターの「サービス工学」の提唱は、注目に値する。本稿での事例ベースの分析によれば、サービスイノベーションの分野における日本のポテンシャルは大きいことがわかる。
  • ベンチャーが先導するサービスイノベーション
    新ビジネスモデルとWeb 2.0がサービス産業にサイエンス導入を促進する
    前田 昇
    青山学院大学大学院国際マネジメント研究科教授

    日本におけるサービス産業の生産性の低さが問題になっているが、多くのベンチャー企業がサービス産業分野でITを活用した新しいビジネスモデルを創出し、新市場を作り出すと同時にその生産性を革新的に向上させている。日本のサービス産業で規制に囲まれ旧態依然と保護されていた大企業によるビジネスが、ベンチャー企業との競争に刺激されて其のビジネスモデルを変革すれば、日本のサービス産業の生産性も大きく向上する。Web 2.0活用のビジネスモデルはリアルタイムで顧客の思考動向までもデータとしてとらえることが可能になり、製造業が商品開発等に活用した高度な数式応用のサイエンスがサービス産業にも取り入れられる日も近い。
    本文を読む(PDF)22ページ/0.58MB/日本語
  • Jリーグというイノベーション
    日本スポーツ産業の課題と解決策に関する考察
    佐野 毅彦
    慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科准教授

    多種多様なイノベーションがスポーツの高度化と大衆化をもたらしたが、必ずしも日本スポーツ産業は発展していない。阻害要因は、日本人独自のスポーツ観、スポーツと「学校体育」の同一視、スポーツと「武道」の融合、「アマチュアリズム」という差別思想の神聖視、であった。日本人のスポーツ観に変化をもたらしたのがJリーグである。Jリーグの制度や施策は産業界にはびこる偽りのリアリティを打ち壊したのである。それゆえに、Jリーグは日本スポーツ産業史上最大のイノベーションと位置付けられると考えられる。
    本文を読む(PDF)18ページ/0.39MB/日本語
  • 遅れてやってきた「サービスとしての医療」
    井部 俊子
    聖路加看護大学学長・教授

    本稿では、医療が「サービス」として公的に認識された平成7年版厚生白書をとり上げ、国民のおよそ6割が「医療はサービス業である」という認識をもっていることや、医療がサービス産業として成長していることを説明した。次に、サービスの本質と基本的特性について言及したのち、サービス概念を医療サービスに適用して、その無形性、「真実の瞬間」の重要性、生産と消費の同時性、顧客との共同生産について言及した。ついで、医療サービスにおけるイノベーションを、社会的駆動力にもとづいて考察し、顧客関係の刷新の重要性を指摘した。
    本文を読む(PDF)12ページ/0.28MB/日本語
研究論文:自由論題
  • テレビ番組ライフサイクルを考慮した情報バラエティ番組の戦略的編成手法
    小野田 哲弥
    産業能率大学情報マネジメント学部専任講師

    本研究は、テレビ番組視聴質調査『リサーチQ』の回答履歴データを用いた実証研究である。情報バラエティ番組をそれぞれ4つのレイヤーとライフステージへと定量的に分類し、時系列検証を行った結果、3つの代表的ライフサイクルが存在することが明らかとなった。また本研究の独自性はロングテール論を参考に、視聴率の極めて低い深夜番組も分析対象としている点にある。昨今民放キー局において頻繁に行われている「深夜番組のゴールデンタイム進出」に注目し、その成功要因を普及理論とキャズム論の観点から検討した。
    本文を読む(PDF)26ページ/1.11MB/日本語
  • ドイツの自転車道網整備における計画基準と標識基準
    エルファディンク, ズザンネ
    慶應義塾大学総合政策学部非常勤講師

    本研究ではドイツにおける自転車交通網に関する基準と、ラインラント=プファルツ州の自転車交通網整備においての基準適応を調べた。ラインラント=プファルツ州が2000年に全面的な自転車交通網の本格的計画・実施に踏みだし、日常ルートとレクリエーションルートを含む、総延長約700kmの自転車交通網を現在も整備中である。全面的に統一された案内標識のデザインを確保するために、州はさらに2004年に独自のデザインガイドラインを発行した。自転車交通網と自転車案内標識の実施は州内の地方自治体によって行われる。
    本文を読む(PDF)20ページ/0.68MB/日本語
  • 冷笑的政治報道の影響に関する研究
    1980年から2000年までの新聞の内容分析に基づいて
    李 洪千
    慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程

    本研究は政治報道における「戦略型フレーム」の増加が人々の政治不信を強めることを明らかにしようと試みた。戦略型フレームとは、政治家個人の利害や選挙対策に焦点を当てたシニカルな報道傾向である。分析の結果、政治報道の焦点は、一般政策や政治的争点から個人の政治家に移っており、戦略型フレームの増加が人々の政治不信の増大をもたらしている可能性が示唆された。
    本文を読む(PDF)20ページ/0.52MB/日本語
  • 製品の収益構造の操作可能性
    キヤノンのインクジェットプリンタ事業の事例
    松本 陽一
    慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程

    イノベーションから収益を得ることは、企業の成長にとって決定的に重要である。イノベーターの収益獲得についてこれまでに多くの研究者が関心をよせ、その産業間の差異に関する有用な知見を蓄積してきた。一方で同じ産業内の企業間の差異については研究の余地がある。本稿ではインクジェットプリンタの分野を対象として、とくに底堅い収益性をもつキヤノンの事例から企業間の収益性の違いを論じる。本稿はキヤノンが製品アーキテクチャの選択を通じて収益構造を操作してきた可能性を示唆し、分析を通じて本稿の概念枠組みの有用性を示す。
    本文を読む(PDF)24ページ/0.50MB/日本語
研究ノート
  • コミュニケーション重視の英語教育における言語の役割とは
    「言語の限界」に対する理論的考察
    山中 司
    慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程
    鈴木 佑治
    慶應義塾大学環境情報学部教授

    「コミュニケーション重視」の大学英語教育に対する社会からの期待が高まる一方で、既存の理論フレームワークは言語至上主義的なモデルに傾倒している等、必ずしも十分な「コミュニケーション観」に基づいた評価ができていない。このような問題意識を背景に、これからの英語教育が立脚すべき「次世代コミュニケーション論」を素描し、示唆と試論を提示した。この論考は「言語の限界」を複数の観点から理論的に明らかにし、メタ・コミュニケーションレベルでの分析が、広義のコミュニケーション論の概念化には不可欠なことを論じている。
    本文を読む(PDF)18ページ/0.46MB/日本語
  • チャンキングによる英文読解訓練ソフトの開発と実践評価
    田中 幸子
    慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程

    ますますグローバル化するICT新時代において、英語が国際的標準言語になりつつある。このような状況下において、英語を、正しく、迅速に解読し、応答して行ける英語力が要求されている。しかし、日本人学生の多くは、英文読解の場合、文末から戻り読みしがちである。この戻り読みは、読解速度を減速させて、読書量を減少させ、読解力アップを妨害していると思われる。チャンキングという読解方法は、意味の塊りを文頭から、順次捉え、連鎖させながら、文末まで読み進める方法で、戻り読みを防止し、効果的な読解方法だと言われている。本研究では、「チャンキングによる読解方法の有用性に関する理論と実証研究」、「チャンキングの定義とチャンキングルールの意味づけ論的な再編成」、「コンピュータへの実装研究に基づいた英文チャンキング訓練学習ソフトの開発」と「大学でのICT学習環境下で、このソフトを利用した英文読解コースデザインを立案し、授業実践を通してソフトの評価」を試み、その有効性の検証を行った。
  • 全国の病院におけるIT環境の調査
    遠隔看護コンサルテーションの実現可能性の検討
    小高 恵実
    聖路加看護大学看護学研究科博士後期課程
    野末 聖香
    慶應義塾大学看護医療学部教授

    近年特に心のケアが重要視されはじめている。リエゾン精神看護専門看護師はより専門的な知識と技術をもって介入しているが、全国でわずか39名しかいない。そこで有効活用するための手段として、インターネットテレビ会議を利用した相談システムを試験的に構築した。そして本システムの拡大が実現可能なのかを検討するために、全国調査を行った。結果、(1)遠隔相談に対するニーズは非常に高い、(2)イントラネットが普及している、(3)セキュリティーに対する危惧が高い、(4)物理的環境が十分ではない、といった現状が明らかとなった。
    本文を読む(PDF)16ページ/0.60MB/日本語


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